生活環境中無数に近いカビ(真菌)が生息しています。そのカビは生物である限り自己
の生命を維持するための環境を選び生活を保ち、付着し条件が整うことによって発育、汚
染を続けます。カビは微生物の中に含まれ、高等かつ複雑な生物群で、自然界において適
材適所とする環境を求めながら分布します。
カビは葉様体植物、菌類に属し自然界での分布は著しく沢山あります。
カビを分類すると、接合菌類、子嚢菌類、坦子菌類、不完全菌類に分けられます。
カビの基本形態は胞子、菌糸、特殊器官により構成され、菌糸には隔壁のあるものと無い
ものに分類できます。また直接観察として純培養により集落の形態ペレット状、膜状、
ひも状の胞子生産の観察により分類をします。
その他として、酵素抗体法、凝集法などがあります。

*分布

カビの多くの発生源は土壌中で、空気中に飛散し植物、食品、住環境へと分布します。
近年の住構造は、快適な住環境を維持するため恒温性が重視されそれを維持するために気
密性を高めています、ところが気密性、断熱性を追求することによって俗に魔法瓶効果で
逆に高湿な環境を状態によっては維持し、カビ汚染を増長させることもあります。住宅に
発生するカビの多くはこうした高湿保持状態に加え室温も深く関係しています。
住宅の中でカビ発生がしやすい環境は、浴室、洗面所、トイレ、台所、押入れなどがあり
比較的に高湿になりやすく、気流変化も室温管理も比較的少ない部位に集中します。

*付着、発育の主要因子

湿度(水分活性):カビを含めた微生物は全細胞の75~90%が水分であり、細胞の活性
を維持しています、したがって相対湿度65%以上必要となります。
温度 :最適温度として20~30℃です。
酸素 :カビの発育で酸素の供給は必須不可欠で、好気的性質を持ちます。
PH(水素イオン濃度):3~9の広い範囲で発育します。
最適PH5.5~6.5であり、弱酸性のものが多くあります。
栄養 :炭素源、窒素源、無機化合物が必要です。 自然界に存在する無機、有機物が栄
養源として多く存在します。
光 :カビの発育には必ずしも必要ありません。

* 健康被害

1,カビ独自の毒素(マイコトキシン)を発生させ中毒症の発生があります。
例として、アフラトキシン(アスペルギルスにより発生)肝癌、肝硬変
2,アレルギー カビアレルギーの発生
例として、アレルギー性気管支炎、過敏性肺炎、アトピー性皮膚炎
3,日和見病原菌による表在性真菌症と深在性真菌症があります。